メモリスパン実験の結果で得られたメモリスパン値の単位は桁数ですので,そのままの数値では,7±2チャンクの範囲に当てはまるか否かを議論することはできませんね。
しかしながら,“全ての参加者の”メモリスパン値について,数字1桁分が1チャンクであると仮定するのも,内観報告を無視した仮定になってしまいます。
本日の皆さんの発表においても議論になっていましたが,例えば,参加者の内観報告を根拠に仮定をするのであれば,「チャンク化した」ことを報告していない(あるいは,「チャンク化していない」と報告した)参加者について,数字1桁分が1チャンクであると仮定することは自然であると考えられます。
しかしながら,「チャンク化をした」と報告をした参加者についても数字1桁分が1チャンクであると仮定することは,内観報告を無視した仮定になってしまいませんか。
なかなか一筋縄ではいかないと思いますが...(a)各参加者のメモリスパン値をチャンクとして捉えなおすためにどのような仮定を置くのか,そして,(b)最終的に,「今回の実験によって得られたメモリスパン値が,7±2チャンクに当てはまるか」といった問題に対してどのような考察を行うのか,については唯一の正解があるわけではないと考えましょう。
(※“真実はいつも一つ”ですが,真実が何かは不明なので,様々な解釈可能性があります)。
さて,それではどのように考察の内容は評価されるのでしょうか。基礎実験のレポートにおいて,重要なのは,どのような根拠から,そのような仮定や解釈を行ったのかといった論理展開です。
レポート内に示した根拠から論理的に導き出される仮定や解釈であれば,考察や最終的な結論が,皆さんそれぞれ全く異なっていたとしても,全員が満点評価を得ることがありえるわけですね(※ちょっと極端に表現しましたが...)。